SP図書館

TOP

SPC投稿小説
Page:0001 
BACKPAGE NEXTPAGE


7ranger another story of yellow

- Love story -




ハイウェイを駆け抜けた、環境に優しい自動車、息を吐く。
本当だったらもう少しスタイリッシュな車が良かったが、そこは我がオーナー様が許さなかった。自然保護を徹底させるなら、その分の補償をください。言っても無駄だろうけど。
慣れた仕草で彼は鍵を抜き、フロントガラスから望む景色を眺め、心の中でこう呟いた。(綺麗な所だ)
「くだらねぇ」
精神がリンクしたのだろうか、彼らしい答えだ。その侭彼は運転手に礼も言わず下車する。言葉かけようとしたが、声は出せなくて、仕方なく、運転席から彼も降りた。どうしたものか、空は高く、風が気持ちいい。今だけなら素直にホリデイヤの信者になれそうである。目立たずに咲く花の群れを避けて、奴の背中の後を沿う。その先には、青い屋根の小さな教会。
不意に、出てくる人影、
「来ましたか」
きっちりとした声だった。確かに時を重みとしている物の、実年齢からすると、ふさわしくない声だ。
「っせぇなクソジジィ」
開口一番の悪態に、
「今日はお連れさんが居るようで」
その神父姿の白髭の老人は、にこりと笑う。
「車あるって知ったからな」乱暴な口調、「アッシーだよ、俺の、だよなソウジ?」
違うと言いたい、だが今は、声は出せない。少し前の戦いで負傷した喉は、まだ完治していない。となると否定の表現は首を振るだけなのだが、小学生みたいでどうよと思う。
結局どちらでもいいので、ソウジは何もしなかった。沈黙は了承という意味になった。
「それはご苦労様です」労う老人、続けて、「もうすぐお昼です、家内の料理を呼ばれませんか?」
ソウジとしては文句が無かったが、彼が待ったをかける、
「メシを食いに来たんじゃねぇよ、俺はっ」
「レドゥ、ですが」
「あんさぁ俺は」
そこでキィィっと鳴き声がした。肩にずっと乗ってた、小さな動物、気付き頭を撫でてやり、
「俺達はやっ事が決まってんだっつの、好き好んでジジババと食卓囲むかよ」
そこまで言い捨てると、レドゥは教会の向こうへ行こうとした。無礼な態度に軽くむかつくソウジ、禁煙中ゆえ、最近些細な事に苛立ちを見せる。だが老人は変わらず微笑んでいる。
ちょうど彼とすれ違う瞬間に、
「彼女の料理には適いはしませんが」
………立ち止まる、………レドゥ。
「腹は満たされます、一日中側にいるのなら、いっぱいにしといたほうが良い」
それを見逃さず、神父は続ける。有無を言わさぬ形で、了承を奪う。
「彼女に会うのは、その後でいいでしょう」
振り返るレドゥの胸元、
下げたロザリオがきらりと光る。

そう、
彼女の事になる時だけ、彼は静かをまとうのです。雨の日だって、風の日だって。
それは、ソウジも詳しくは知らない話、彼の中だけの、大切な思い出、
誰にも触れられたくなく、
そして失いたくない、
彼の過去―――

小さな恋のメロディ
そんな映画があったんだ
だけど僕等は、一緒に行けなかったね
君は一人で僕を置いて
………今も