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〜 プロローグ 〜 Page:0001 
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Sketchy



プロローグ



「ふあぁ……あ」
 パソコンデスクに据えられたディスプレイと向き合いながら、坂田順平は盛大に口を開いた。
 周囲がひどく静かだったので、自分のあくびの声がやけに大きく響いて聞こえる。
 体を反らせて伸びをすると、大柄な順平の体重に耐えかねて、椅子の背もたれが悲鳴をあげた。
 ディスプレイの隅っこに表示されている時計に目をやると、もう深夜の二時を回っていた。周りが静かなのも当たり前だ。インターネットを経由して色々なページを見て回る、いわゆるウェブサーフィンをしている内に、いつの間にやらこんな時間になってしまった。いつものこととはいえ、朝が早いので、そうそう夜更かしもしていられない。
「寝るか……」
 眠そうな声で呟いて、画面上に開かれたウェブブラウザを片端から閉じていく。
 ちなみに順平のパソコンは、高校の入学祝いに親から買ってもらった物だ。既に一年半以上も前の話である上に、当時としても少々型落ちの叩き売り商品を購入したので、今となっては性能的な不満が目立つ。未だにアナログモデムで接続しているネットワーク環境も、なんとかしたい。
 ところが残念なことに、ごく一般的な中流家庭のご子息であらせられる彼には、先立つモノのアテが無いのだった。昨今のITブームに目を眩まされた両親は、それでもパソコンという趣味に理解を示してくれているのだが、なにしろこの不景気だ。しかも、先ごろ再就職先が見つかったとはいえ、父親は今年のはじめに一度リストラされている。あまり無理を言える状況ではないのだった。
 ままならねぇ、と愚痴る彼には、とりあえずアルバイトをしろとツッコんでおきたい。
 乾燥気味の寝ぼけ眼を擦りつつ、順平がダイアルアップ接続を切断しようとした時だった。
 メールの着信を知らせるサウンドが、パソコン本体のスピーカーから流れてきた。
「……なんだ、こりゃ?」
 新着のメールを確認して、我知らず眉間に皺を寄せる。
 新たに受信したメールの件名は「I need your help.」。差出人の欄には、見覚えの無いメールアドレスが表示されていた。
 突然メールを差し上げる云々、という本文の先頭を目にした時には、よく送られてくる勧誘メールの類いかと思ったのだが、何気なく斜めに読む内に、順平の顔はますます訝しげに歪んでいくのだった。
 以下が、そのメールの全文である。